Pさん、また楽器買ったんですか

国内各地に神出鬼没で生息地不詳と専ら噂のP氏がボケ防止のために始めた駄文の肥溜め

AlbaOrizzontePhilharmonie

AlbaOrizzontePhilharmonie − 艦これ×アマチュアオーケストラという形の同人活動

 

詳細:運営によるWebサイト(http://albaorizzonte.web.fc2.com/ )

 

 

ゲーム機の代名詞「ファミコン」その登場から早三十数年が経過したいま、打込みによるBGM、つまりゲーム中に登場する音楽も「ピコピコ」とはもはや形容され難いまでに進化を遂げた。その姿たるや、まるで人間が演奏・収録しているかのようなリアリティをも内包し、実際に人間が演奏したものと一瞬区別がつかなくなることもある。

 

ところで、音楽活動とりわけ楽器演奏が衣食住に並んで生活の一部に組み込まれている者は、あの曲を演奏したい、この曲を演奏したいという、具体的な夢や動機・憧れ・野望をもって日々の練習に励んでいるということが大いにあるだろう。
楽器演奏は、それを生業にする者や、余暇の楽しみにする者あるいは主副の概念を飛び越えて廃人と成り果てた人生を捧げている者まで、形態や熱意はさまざま。しかし、演奏したいと思っていた楽曲に幸運にも巡り合い、大勢の観客を前にステージで演奏した暁、その喜びを噛み締める体験は、およそ全てのプレイヤーに共通するカタルシスと言って過言ではなかろう。

 

楽器演奏はその特性上、必ずと言っていいほど「ほかのだれかと一緒に演奏(合奏)する」ことが常である。(ピアノ等の特性上ソロが可能なもの、あるいは多重録音を行う場合のように、完全に独りで完結できることもあるが、そういった事例は今は割愛)
通常であれば、自らの生活圏内である地域や学校を拠点にして活動する楽団に加わって、月数回~週数回のペースで集まって練習、年何度かの本番を行うものだろう。特に管楽器をやっている者として痛感するが、とりわけ日本では吹奏楽(管楽器及び打楽器による編成)の形態で活動をする楽団が大多数あるように思える。次いで管弦楽(いわゆるオーケストラ)の形態といった具合だろうか。いずれにしてもスクールバンド(学校の部活における吹奏楽)の普及に伴う管楽器人口の多さに大きく影響しているように思う。

 

さて、各々が都合よくやりたい曲を続けざまにポンポンできるのなら、こんなに幸せなこともないだろうが、どのような形態であれ、多数の演奏者が集まって活動するとなった場合、当然ながら発表の場で演奏したい楽曲についても多種多様の意見が飛び交うことになる。コンサートの時間には限りがある。
好きな作曲家?好きな国?尊敬するプロ奏者をソリストに呼びたい?集客?…メンバーの数だけアイデアがあり、様々な楽曲が選曲候補に挙がり絞られ、意思決定がなされる。意思決定にあたり民主的な手法が採用される場合はおよそ、表向きごもっともな理由で最大公約数的な選曲に落ち着く。
各地域に根ざした、いわゆる常設の楽団においては、管弦楽の場合は大半がいわゆるクラシック音楽に収斂し、ポップミュージック等のライトな選曲をコンセプトにした公演の場合、もしくは比較的雑食な演目が一定の地位を得ている(?)吹奏楽編成による公演であっても、マニアックな楽曲・演目は選曲会議の箸にもかからず門前払いを食らってしまうのが常である。


しかしながら、そんなマニアにも希望は残されている模様。全国に点在する同志が一堂に会し、公演を企画し、集客も行い実際に開催にこぎつける、そんな活発な活動を行っている者たちがいる。
インターネットの普及に伴い、同じビジョンを持つ演奏者の存在を観測するのも容易となり、ここ数年で一気にそういった企画の類が立ち上がっているさまを確認できる。
形態も、メンバー集めの都合上やはり吹奏楽が一番無難な形として支持を得ているようにも見えるが、管弦楽、同属・近縁楽器の小規模アンサンブルから合唱まで多岐に渡り、コンサート形式そのものについても、何回も練習して本番まで持っていく際に発生しうる様々な負担等への配慮からか、観客を入れずに演奏者だけで演奏(あるいは収録)して完結する、いわゆる「オフ会」形式の採用よる手軽さが認知されたことも、企画立ち上げの増加に一役買っているものと思われる。

 

マニアックな選曲については、ゲームに登場する音楽にも同じことが言える。総じてゲームに疎い自分でも知っているような国民的な作品、例えば某赤い帽子のおっさんや、某黄色いネズミが登場するものでもなければ、そもそも身の回りにその作品に触れている人すらいない、という状況もありうる。同じ楽団の仲間をゲームに引き込むのと、ゲーム仲間を楽器奏者にするのではどっちが簡単だろうか、ということを考えてしまう具合に。


2015年の始め頃だったか、ちょうどTVアニメ化もされたブラウザゲーム艦隊これくしょん - 艦これ」に登場する楽曲を演奏しようという有志企画が出現した。標題にある「AlbaOrizzontePhilharmonie」である。カタカナ転記でアルバオリゾンテフィルハーモニーと読み、アルバオリゾンテはイタリア語で暁の水平線を意味する(主宰曰)。オーケストラ団体はそのアイデンティティとして団体名の一部に「交響楽団」「管弦楽団」等のワードを冠することが多いが「フィルハーモニー」もその一つである。この企画には有難いことに自分も参加させて頂くことができた。なんでゲームに疎い奴が艦これやってるかというと、大学のサークルの後輩がやっていたからである。なんとなく始めたらまんまとハマってしまった。話を戻そう。名前が長いので参加者は皆アルバと呼称しており、以後この例に倣うこととする。


これまでの活動実績は以下のとおり

第一回:2016年2月11日(木・祝)@八王子いちょうホール

第二回:2017年6月25日(日)@たましんRISURUホール


これまでに二回、演目・曲目やメンバーが変わりながらも公演が行われた。第二回公演からちょうど2年の節目である。ちなみに、一回目と二回目を区別するためにとりわけ二回目公演を指して「アルバ改」と言うこともある。

 

アルバは他のオーケストラ団体同様、演奏者一人ひとりが活躍できる。好きなゲームの好きな曲を演奏するという夢を叶えられたことはもちろん、普段は全国各地の多様な団体で活動する演奏者が練習や本番を通して互いに交流することにより刺激を受け、やがてそれぞれのホームへ帰ったときに一層充実した活動ができる一助となるような良き研鑽の機会にもなっているように感じている。また、音楽のみならずゲーム攻略、組織運営、嫁艦、史実、作品解釈等について参加者相互の意見・情報交換のためのネットワークが構築され、何かの拍子にまた活発な企画が新規に動き出す気配すらも感じさせる。

そして今年、三回目となる公演の開催が決定した。「アルバ改二」である。本当に、毎回ご尽力して下さる運営始めコアメンバーの皆さまには頭が上がらない。ちなみに、三回目公演だが「アルバ改二」である。紛らわしいので気をつけたい。

自分も存じ上げないが、運営の当初構想からゆうに5年以上は経っているだろう。この間、艦これ公式においても新たなタイアップが増え、初回公演の時点では想像もつかなかった新しい展開も訪れた。ちなみに、今でこそ艦これ公式のオーケストラコンサートは好評を博しているが、このアルバはいわゆる「同人活動」でありながら、公式に先んじて艦これ楽曲のオーケストラコンサートを行ったのである。過去二回の公演においては、演奏以外の随所に各参加者のこだわりが光り、ある意味でファンコンサートとしての理想形なのではないかと感じている。


目先に予定されているアルバ改二コンサートを含め、今後のアルバも、公式企画や本体の進化を柔軟に取込み、よりエキサイティングにかつ、一部はよりマニアックにアップデートされ、艦これ好きな皆様へさらにお楽しみいただける舞台に仕上がることだろう。

 

AlbaOrizzontePhilharmonie 第三回公演「改二」

2019年10月22日(火・祝)@八王子いちょうホール